企業概要
企 業 拠 点 :アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ
設 立 年 月 日 :2024年
資金調達総額 :非公開
現在のファンドステージ:シード
リード投資家 :500 Global、IBK 1st Lab、ディープテックTIPS
従 業 員 数 :1〜10名規模
【サービス内容】
多くの企業は、20年以上前の設計思想にもとづくERP(統合基幹業務システム)の上で日々の業務を回しています。ERPは受注や購買、請求、承認、出荷といった取引を記録しておく仕組みとしては優れていますが、そのデータから業務の非効率を見つけ、改善の判断につなげる仕組みとしては不十分です。どこで承認が滞っているのか、どの工程で手戻りが起きているのか、どの部門間の受け渡しで待ち時間が生じているのかは、システムの奥に埋もれて見えにくくなっています。既存の業務分析ツールは高額で、導入から結果が出るまでに3〜6か月かかることも珍しくありません。さらに、ERPを自社向けに作り込んで使う企業では、設定やプログラムの修正が本番環境に思わぬ不具合を起こしたり、テスト環境を更新したときに作業内容が失われたりする問題も起きています。
Vertical Bar(バーティカル・バー)は、中堅企業に広く使われているOracleのクラウドERP「NetSuite」を対象に、業務の分析と環境の運用管理を支えるサービスを提供しています。分析の分野では、ERPの操作履歴を自動で読み込み、業務の流れを図として見える形にします。遅れや詰まり、やり直しの繰り返しをリアルタイムで見つけ出し、主要な業績指標も追跡できます。AIに「なぜこの工程が遅れているのか」と普通の言葉で尋ねると、分析結果と改善案がグラフ付きで返ってきます。これまで数か月のコンサルティングが必要だった分析を、その場のやり取りに置き換えることを目指しています。現在の主力製品「CrossCheck」は、NetSuite向けの開発・運用管理ツールです。複数の環境の設定状況を一覧で把握し、環境間の差や意図しない変更を検知して知らせます。設定の保存・比較・復元、更新の影響分析と切り戻し、プログラムを書かずに作れる自動テスト、AIによる原因の特定と修正案の提示などを備え、現在はベータ版を無料で提供しています。医療機器、食品・飲料、化学品、航空宇宙・防衛など、複雑な業務を抱える製造業を重点業界としています。
技術の核は、独自に開発を進める「大規模プロセスモデル」です。大規模言語モデルが大量の文章から言葉のパターンを学ぶように、このモデルはERPの運用データを学習し、複雑な業務の流れを自動で抽出・拡張します。従来の分析が「どこに問題があるか」を示すにとどまっていたのに対し、「なぜ問題が起き、どう解決すべきか」までを、シミュレーションにもとづいて示せる点が違いです。対象をNetSuiteと製造業に絞り込み、独自のデータで強みを築く、特定業界特化型の戦略をとっています。社名もこの考え方に由来します。分析エンジンをオープンソースで公開しているほか、NetSuiteの項目の変更履歴を追えるブラウザ拡張機能も提供しています。マットレスメーカーのCalm Mattressの導入事例では、同社のCTOが「ボトルネックをより明確なデータで捉え、迅速に意思決定できるようになった」と評価しています。
創業者で代表のダニエル・ソル・ウン氏は、開発プラットフォームのスタートアップUiflowを共同創業した連続起業家です。UiflowはY Combinator(2021年冬期)に採択され、Twilio、Datadog、Automattic、Unityといった世界的なSaaS企業の創業者らから2,100万米ドルを調達し、2023年に米Workdayに売却されました。この経験を生かし、AIで世界のERP市場を変革することを目指して、2024年にVertical Barを設立しました。同年に500 Globalからシード出資を受け、IBK企業銀行のアクセラレーターにも参加しています。2025年8月には、500 Globalの推薦で韓国中小ベンチャー企業部のディープテック支援事業に選ばれ、モデルの研究開発に3年間で総額15億ウォンの支援を受けることが決まりました。現在は北米でNetSuiteを使う中堅の製造業・物流企業を対象に実証実験を進めており、今後はSAPやSalesforceなど他のシステムへの対応拡大も計画しています。企業が自ら問題を診断し最適化する「自律運営型の企業」の実現をビジョンに掲げ、韓国発のチームが米国のERP市場に挑む事例としても注目されます。


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