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企業概要

企 業 拠 点 :中国・江蘇省蘇州市(生物ナノパーク内)
設 立 年 月 日 :2019年1月
資金調達総額 :約11億3000万ドル
ファ ン ドス テ ー ジ:シリーズC
リード投資家 :Temasek, SoftBank Vision Fund, Invesco, GL Ventures, Lilly Asia Ventures, SDIC Venture Capital Management
従 業 員 数 :51〜200名以上

mRNA技術とは? ――まず基礎から

私たちの体の細胞は、設計図(mRNA)を読み取って、必要なタンパク質を自分で作る仕組みを持っています。

従来の薬は「完成品のタンパク質」をそのまま体に投与していました。一方、mRNA技術は「タンパク質の作り方の指示書」を体内に届けることで、細胞自身に必要なタンパク質を作らせる全く新しいアプローチです。新型コロナウイルスのワクチン(ファイザー製・モデルナ製)で広く知られるようになった技術です。


Abogen Biosciencesとはどんな会社?

中国・蘇州(上海の近く)に本社を置くバイオテクノロジー企業で、このmRNA技術を使ったガン・感染症・自己免疫疾患(リウマチなど、免疫が自分の体を攻撃してしまう病気)の治療薬・ワクチン開発を専門としています。

同社が取り組んでいる主な技術的課題は2つあります。

  • mRNA配列の設計:「どんなタンパク質を作らせるか」という指示書の内容を、目的の病気に合わせて最適に設計する
  • LNP(脂質ナノ粒子)技術:mRNAは非常に壊れやすい分子のため、そのままでは体内で機能しません。脂質(油脂の一種)でできた超微細なカプセル(ナノ粒子)に包んで、狙った細胞まで安全に届ける技術です

なぜ注目されているのか? ――3つのポイント

1.研究から製造まで「全部自社でできる」強み

多くのバイオ企業が研究・開発・製造をそれぞれ別の会社に委託するのに対し、Abogenは基礎研究 → 臨床試験(人への安全性・有効性の確認)→ 大量生産まで、すべてを自社内で完結できる体制を持っています。これにより、開発スピードや品質管理で大きな優位性があります。

2.がんワクチンで歴史的な一歩

2025年、KRAS遺伝子変異を標的にしたmRNAがんワクチンの臨床試験について、アメリカのFDA(食品医薬品局)と中国当局の両方から承認を取得しました。

KRAS遺伝子変異とは? KRASはがん細胞の増殖に関わる遺伝子で、膵臓がん・肺がん・大腸がんなど多くのがんで変異が見られます。長年「狙い撃ちが難しいターゲット」とされてきた難敵で、mRNAワクチンによるアプローチへの期待が高まっています。

3.がん血液疾患にも新薬候補

2026年4月の米国がん研究会議(AACR)では、血液がんの一種に対する新薬候補「ABO2203」の初期臨床試験データを発表し、大きな注目を集めました。


「縁の下の力持ち」としての役割も

自社の薬を開発するだけでなく、その高度な製造設備や技術を他の製薬会社にも提供するCROビジネスも展開しています。CRO(医薬品開発業務受託機関)とは、製薬会社から依頼を受けて開発・製造の一部を代行する専門機関のことです。業界全体のmRNA医薬品開発を後押しする「縁の下の力持ち」的存在でもあります。


資金力と成長スピード

設立から短期間で、テマセク(シンガポール政府系投資機関)・ソフトバンク・ビジョン・ファンド・インベスコといった世界的な大手投資家から、累計11億ドル(約1,600億円)以上を調達しています。豊富な資金を背景に、複雑な疾患への新しい治療薬の開発をグローバル規模で加速させています。

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