企業概要
企 業 拠 点 :米国カリフォルニア州サンフランシスコ(アイルランド・ダブリン発祥)
設 立 年 月 日 :2017年
資金調達総額 :約3900万ドル
ファ ン ドス テ ー ジ:シリーズB
リード投資家 :Threshold Ventures, Uncork Capital, Crosslink Capital, Foundry Group, Y Combinator
従 業 員 数 :約40〜50名
【サービス内容】
金融機関やフィンテック企業がローンの審査や口座開設を行う際、顧客から提出される銀行の取引明細書、給与明細、確定申告書、公共料金の請求書といった「文書の確認」は不可欠なプロセスです。しかし近年、生成AIや安価なテンプレートの普及により、本物と見分けがつかない「ディープフェイク文書」や改ざんされた書類が誰でも数秒で作成できるようになりました。この高度化する文書不正(ドキュメント・フラウド)に対し、手作業での目視確認ではもはや対応しきれないという業界の危機感を背景に設立されたのがInscribe(インスクライブ)です。アイルランド出身の双子の兄弟によって創業され、Y Combinatorを卒業後に急成長を遂げています。
同社が提供するのは、金融文書の不正検出に特化した「エージェント型AI(Agentic AI)」プラットフォームです。InscribeのAIは単なるフォーマットの確認だけでなく、熟練の不正アナリストが推論するプロセスを模倣します。目視では分からないファイル構造のメタデータの改ざん(フォレンジック分析)、AI生成ツール特有のピクセル単位の異常(パーセプチュアル分析)、書類内の数字の計算が合っているかといった文脈の矛盾(セマンティック分析)を同時に実行します。さらに、金融業界で最大規模を誇るInscribe独自の文書データベースと照合し、「この書類は過去に別の名義で使い回されていないか」を瞬時に特定します。
これまで数十分から数日かかっていた人間のレビュー作業を、Inscribeはわずか90秒で完了させ、監査にも対応可能な詳細なレポートを出力します。システムが「信頼スコア(Trust Score)」を付与することで、企業はリスクの低い顧客を即座に承認(自動化)し、疑わしいエッジケースのみを人間の担当者にルーティングすることができます。
これまでにPlaid、Ramp、Logix Federal Credit Unionといったトップクラスのフィンテック企業や信用組合に導入され、顧客全体で8000万ドル以上の不正被害を未然に防いできました。2023年1月には、Threshold Venturesが主導し、Uncork Capitalなどが参加するシリーズBラウンドで2500万ドルの資金調達を実施しました。生成AIがもたらす新たな金融犯罪の脅威に対抗し、デジタル経済における「信頼」を再構築するミッションクリティカルなインフラとして市場を牽引しています。


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