LINEで送る
Pocket

映画館業界は近年、ストリーミングサービスの台頭やパンデミックの影響によって大きな転換期を迎えています。そうした中、劇場運営におけるデジタル変革(DX)を支援するスタートアップとして注目を集めているのがノルウェー・オスロに本社を構える「Filmgrail(フィルムグレイル)」です。

1.映画館向けの統合型マーケティング&販売プラットフォーム

Filmgrailは、映画館向けにチケット販売、顧客エンゲージメント、パーソナライズされたマーケティングを統合的に支援するSaaS型プラットフォームを提供しています。主な製品には、モバイルアプリ、ウェブサイト、CRM(顧客関係管理)ツール、メールマーケティング機能、AIによるレコメンドエンジンなどが含まれており、劇場が自社ブランドで顧客体験を最適化できることを強みとしています。

これにより、映画館はチケット購入者に対してパーソナライズされた作品提案やキャンペーン配信を実施でき、LTV(顧客生涯価値)向上に貢献する仕組みが整備されています。

2.ビジネスモデルと導入実績

Filmgrailは、B2BのSaaS型ライセンスモデルを採用しており、映画館チェーンや独立系シネマと直接契約を結ぶ形でサービスを提供しています。導入先の映画館は、自社アプリやウェブサイトにFilmgrailの機能を組み込むことで、ユーザー体験の向上と業務効率化を同時に実現することが可能です。

ヨーロッパを中心に複数の映画館チェーンで導入されており、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、イギリスなどでの展開実績があります。パンデミック以降、映画館運営におけるデジタルシフトの重要性が高まる中で、需要が拡大しています。

3.資金調達状況と事業ステージ

Filmgrailはこれまでに複数回にわたって資金調達を実施しており、2021年時点でシリーズAラウンドに到達しています。投資家には北欧地域のベンチャーキャピタルや映画業界関係者が参加しており、調達資金はプロダクト開発と国際展開の加速に活用されています。

同社はすでにプロダクト・マーケット・フィットを達成しており、現在はスケールアップ段階に位置付けられています。自社開発のAIパーソナライゼーション機能や、オムニチャネル対応の拡張によって、さらなる競争力強化を進めています。

4.今後の展望

Filmgrailは今後、欧州市場に加え、北米や中東、アジア圏への進出を計画しています。また、映画館向けの分析ダッシュボードや、広告・プロモーション管理機能の高度化も進行中です。

加えて、将来的には映画館だけでなく、配給会社や映画制作会社とのデータ連携を強化し、業界全体にまたがるマーケティングプラットフォームへの発展を目指しています。

5.総括

Filmgrailはノルウェー発のスタートアップとして、映画館のチケット販売と観客エンゲージメントを支援するSaaS型プラットフォームを展開しています。B2Bのライセンスモデルを通じて欧州各国で導入が進んでおり、現在はスケールアップ段階にあります。資金調達はシリーズAに到達しており、今後はグローバル市場への展開とプロダクト機能の拡張を計画しています。

参考:https://filmgrail.com/
   https://500.co/

毎週水曜日、5社の注目スタートアップが登壇するピッチイベント!
earthkey pitchのご案内

イベント概要

earthkeyが主催するオープンイノベーションイベントです。
業界業種にこだわらず、毎週5社の新進気鋭のシード・アーリーステージのスタートアップ企業が、事業会社との共創や投資家との出会いを目的に登壇します。業界を越えた業務提携や資本提携など毎回数々のマッチングが生まれる場です。事業会社の方は参加いただくことで、自社の新規事業の推進や自社課題(ワークフローのデジタル化など)の解決、クライアントへの付加価値提案などのアイデアを得ることができます。当イベントは、業界業種に縛られないセレンディピティ(偶然の出会い)の場を大切にしています。


視聴をご希望の方は下記リンクよりお申し込みください。

LINEで送る
Pocket

新着情報やお得な情報をメールでお届けいたします!