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少子高齢化が進む中、日本の医療業界では慢性的な人手不足と事務負担の増加が深刻な課題となっています。そうした現場の「見えないコスト」にメスを入れようとしているのが、アメリカ発のスタートアップ「AKASA(アカサ)」です。

AKASAとは?──医療業界向けAIオートメーションのパイオニア

AKASAは、カリフォルニア州に拠点を置くスタートアップで、**病院やクリニックの収益サイクル管理(Revenue Cycle Management, RCM)**を自動化するAIソリューションを提供しています。創業は2018年。スタンフォード大学のAI研究者と医療業界のプロフェッショナルがタッグを組んで設立されました。AKASAのコア技術は、「Unified Automation」と呼ばれる独自のAI+人間の協働フレームワーク。これは、保険請求・登録・支払い追跡などの複雑な医療事務プロセスを、AIが人間の業務から学び、自律的に実行するという仕組みです。

なぜ注目されるのか?──非効率な“裏方業務”にこそAIの価値

米国でも医療機関の業務の多くは手作業に依存しており、その煩雑さやエラーが患者の支払い遅延や病院の収益悪化を招いています。AKASAの調査によれば、米国では医療機関の売上の約10%が請求漏れやエラーにより失われているとされています。この問題に対し、AKASAはAIによる処理自動化を通じて、人件費の最大66%削減保険請求業務の精度向上を実現しており、実際に全米トップクラスの病院・医療ネットワークが導入しています。

“ホワイトカラーの自動化”が医療DXを加速

日本でも医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、診療報酬請求や受付業務といったホワイトカラー業務の効率化は、手がつけられていない領域が多く残っています。AKASAのように「人が教え、AIが学び、業務を肩代わりする」アプローチは、日本の医療法人や大規模病院にとっても、即効性のあるコスト最適化施策として注目に値します。

Andreessen Horowitzも出資

AKASAはこれまでにAndreessen Horowitz(a16z)などから累計8,500万ドル以上の資金調達を行っており、医療×AIの有望株としてグローバルな評価を受けています。

総括──医療の裏方こそ、次のAIフロンティア

派手なテクノロジーではなく、医療の足元を支える地味な業務こそ、社会的インパクトが大きい領域です。AKASAのようなスタートアップが示すのは、人手不足が深刻化する社会において、AIが“人に代わる”のではなく、“人を補完する”新たな形です。日本の医療界にとって、AKASAは「次に来るイノベーションの兆し」を感じさせる一社と言えるでしょう。

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イベント概要

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