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訪日外国人観光客に人気のある京都の伏見稲荷大社や貴船神社を訪れると、境内の看板やおみくじにQRコードが貼付してあります。そのQRコードをスキャンすると、多言語で内容が案内表示されるという仕組みです。この多言語表示サービス「QR Translator」はメディアでも何度か取り上げられており、株式会社PIJINが運営・開発を行っています。今回、株式会社PIJINの代表、松本さまにサービスの強みはもちろん、自治体を中心にサービス提供する企業ならではの文化や制度についてインタビューしてきました。

Q『QR Translator』の強みはどのようなところですか?

弊社の強みは2つあります。1つ目は街中の看板や標識など、リアルなタッチポイントを持っていることです。2つ目は、サービスをプラットフォームで提供しており、他社サービスと連携しやすいことです。他社さまが新しいサービスを作った際、弊社と組むことで幅広い業界に対応した形で市場に出すことができます。最近話題のVRやマッピングのサービスを『QR Translator』上で利用すれば、インバウンド観光客をターゲットにして顧客拡大に繋がるなど、相乗的に売上が増加するところが強みです。

Q 競合視されている企業さまはいらっしゃいますか?

周りからは競合と思われがちですが、実はすでに連携をしているサービスも多くあります。災害情報の分野だと外国人向けに多言語情報を提供するするアプリがいくつかあります。あとは多言語ウェブページを作ることができるWEBサービスなども競合だと考えています。弊社が他社と大きく違う点はリアルなもの(看板等)を使って多言語表示サービスを提供していることです。看板やパネル、商品のパッケージなどの幅広いタッチポイントを持っていることが特徴です。競合のサービスはアプリをダウンロードさせて初めてタッチポイントが創出されますが、弊社の方は目に見える形でタッチポイントが拡大しています。

Q活用の多い業界はどういったところですか?

一番多い業界は自治体です。なぜ自治体が多いかというと、美術館や博物館、観光スポットなどの施設もさることながら、屋外に置いてある看板などのほとんどを自治体が所有しているからです。現在は、もちろん民間企業が運営している展示施設や看板などにもご利用いただいています。例えば、関西でメディアにもよく取り上げられている白鶴酒造様には、企業ミュージアム(※1)でご活用いただいています。また、観光スポットでは貴船神社さまのおみくじにご利用いただいており、多言語表示されるおみくじが多くの外国人観光客の間で話題になっています。その他、商品情報の観点から小売店やメーカーにもご活用いただいています。

Qそれらの事例を踏まえた上で今後どういった業界で活用をお考えですか?

最近では”防災”に力を入れており、特に自治体での活用が多いですが、今後は不動産業界など施設管理の活用を増やしていきたいと考えています。空港や鉄道会社での事例は増えていますが、ディベロッパーなどの大きなビルを抱えている企業さまでも外国人向けに多言語に対応した防災案内を行わなければいけないという考えが浸透してきています。また、国としても東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多言語に対応した防災案内活動を推進しています。そのような背景があるので今後は自治体向けに展開していきながら、地域の情報を集約するタッチポイントとして、ビルなど施設管理の分野への展開を考えています。

Q お客さまから評価されている点はどういったところですか?

大きく分けて3つあると考えています。1つ目はアプリよりブラウザーベースでサービス展開することで費用を抑えられる点です。2つ目は従来の多言語台頭というサービスとして展開する形態ではなく、神社のおみくじや商品パッケージから越境ECへの誘導など、使い方や企画を一緒に提案している点です。そして3つ目は弊社と連携することで、単独ではできない新しい展開が可能になる点です。お互いにWIN-WINな関係を築けるように、弊社のクライアント同士でのコラボレーションについても積極的に取り組んでいきたいと考えています。

Q 従来の活用方法以外にはどんな活用方法がありますか?

従来QRコードはWebページへの入り口だけの役割でしたが、クラウドサービスとしての入り口に変わってきています。例えば今後広がるであろうQR決済、電車の停車位置調整のためのQRコードなどが挙げられます。仮説の話ですが、自動運転への活用も考えられます。クラウドサービスとしての展開と”QR Translator”のサービスを連携させると面白いのではないかと考えています。
すでに”防災”がテーマの活用方法を打ち出しています。基本的に防災情報は国や気象庁が管理し、警報や避難指示を出しています。ただ、現在気象庁が持っている観測場など特定の場所でしかデータ収集がされていないため、そのデータ収集の量を更に増やすべきだと考えています。そのために必要となってくるのがセンサーです。今後、弊社としても街中にセンサーを設置するように計画段階から取り組み、収集したデータを国に提供したいと考えています。次にこれらのデータをもとに自治体が警報や避難指示を出す際に”QR Translator”を利用いただくという流れでサービス展開を考えています。計画していることは、消費者行動データをもとに行うマーケティングと似ています。弊社は収集した災害情報を用い、情報発信するといった新しい仕組みを考えています。
CMS(コンテンツ管理システム)の設定を変更し、自動的にサービスが回るような仕組みを作るだけで活用の幅を広げることができます。弊社はそのような仕組みをベースで持っているため防災情報配信をスムーズに行えます。

Q QRコード以外の多言語翻訳機能である音声や光などを利用したサービスの状況はいかがですか?

今年4月にヤマハ株式会社と連携した音声認識技術を用いた多言語翻訳機能が販売開始予定です。今年の1月~3月までに実証実験としてクライアントである鉄道会社や観光施設や案内所に設置し、事例を作ろうと考えています。
QRコード単体と比較するとコストがかかってしまうため、音声認識と画像認識はオプションとして販売しながら利便性の部分を付加価値としてアピールしていきます。今後の展開としても更に大手企業に限定せず、技術が優れたベンチャー企業などと協業できれば便利なサービスを導入しやすい価格で提供していけるだろうと考えています。

Q 海外展開の進行状況はいかがですか?

既に米国、ロシア、中国でビジネスモデル特許を取得していますが、まずは日本国内で更にサービスを浸透させ、上場を一つの目標としています。その後、海外展開に向けて取り組んでいく計画です。
2020年東京オリンピックを筆頭に2019年ラグビーワールドカップ、2021年ワールドマスターズゲームズ、2025年に大阪万博の誘致が進むのをみると、この間に一つの流れができると思います。それまでにビジネスモデルを確立して、海外展開をしていきたいと考えています。
と言いつつも、ぜひ弊社と一緒になって海外展開をやりたいという企業さまがいらっしゃったら、今すぐにでもやりたいと考えていますので、ご連絡ください(笑)

Q 組織として大切にしている文化はございますか?

『日本のユニバーサルデザインを世界に届ける』という経営理念を掲げています。理念に共通する点として”ボランティア精神”があると思っています。偶然にも現メンバーの多くがボランティアを経験しています。今後の採用活動でも、”ボランティア経験者”を採用する際の一つの軸にしようと考えています。
世間一般的にビジネスとして成立していない部分の大半はボランティアが支えていると考えています。そういった部分を解決するためには”ボランティア精神”を持っている人でないと仕組みを考えられないと思うので、そのようなマインドを弊社の文化にしていきたいと思っています。

Q 社員のモチベーションアップのために行なっている取り組みはございますか?

現在は特に設けていませんが、組織体制が整ってきたら”ボランティア休暇”というボランティア活動に積極的に参加できる休暇制度を作りたいです。採用の観点でも”ボランティア精神”を持った方々の応募が増えるのではないかと考えています。ボランティア活動内容を社内で共有することで、より一層ボランティアに対する意識が向上し、コミュニケーションが活発になると思っています。

Q松本さまが使っていてオススメしたいサービスはございますか?

FacebookとLINEは毎日のように利用しています。あと健康管理アプリFiNC(フィンク)も利用しています。体重管理ができ、年末年始の食べ過ぎを抑えることができました(笑)またキュレーションアプリ「カメリオ」は情報を取るのに便利で利用しています。弊社の情報も早くカメリオの中で配信されたいなと思いながら見ています。

Q 読者の方に向けて一言いただけますか?

弊社のサービスもニーズが高まってきています。2020年以降に向けて様々なサービスの拡大を進めています。汎用性が高く、応用が効きやすいサービスですので、是非この領域に関心がある方は、弊社のビジネスパートナーとしてご一緒できればと考えています。お問い合わせをお待ちしております!

※1 企業ミュージアム – 特定の企業が自社の企業活動のテーマ、保持する特殊な技術、専門知識を一般に公開保存する意図で設置したもの

企業情報:https://jp.qrtranslator.com/

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