業界を取り巻く課題
インドをはじめとする新興国では、オンライン取引やデジタル決済が急速に普及してきました。しかし、その成長の裏にはいくつもの大きな課題が横たわっています。まず、決済手段の多様さが逆に複雑性を生み出してきました。クレジットカードやデビットカード、銀行振込、モバイルウォレット、さらにはインド特有のUPIといった手段が乱立し、事業者がこれらを一元的に扱うことは容易ではありません。消費者の体験も安定せず、途中で決済が失敗するケースは珍しくありませんでした。
さらに、多くの中小企業が直面するのがキャッシュフローの問題です。売上が立っても入金が遅れることは日常茶飯事で、資金繰りの不安は経営リスクそのものとなります。加えて、オンライン取引の急増は詐欺や不正アクセスといった新たなリスクを生み出し、決済の信頼性に対する懸念を強めてきました。
規制の複雑さもまた大きな壁でした。AMLやKYCをはじめとする金融関連の規制は遵守が欠かせない一方で、中小規模の事業者にとっては手続きが煩雑で時間もコストもかかります。越境取引においては、為替手数料や決済遅延といった障害が参入のハードルを押し上げてきました。そして、こうした状況の中で決済インフラがトラフィック急増時に耐えられず、ダウンタイムが発生することも少なくありませんでした。これらの要因は、成長を目指す事業者にとって大きな足かせとなっていたのです。
Flywheel AIはどのように解決しているか?
このような業界の課題に対し、Razorpayは単に「支払いを可能にする」だけではなく、企業の成長を支える包括的な金融基盤を提供することで応えてきました。同社はまず、多様な決済手段を一つのプラットフォームに統合することで、消費者と企業の双方にシームレスな体験をもたらしました。特に、サブスクリプションや定期支払いの分野ではe-mandatesといった仕組みを整備し、継続課金の失敗を防ぐことで安定的な収益モデルの実現を後押ししています。さらに、支払いリンクや請求書機能を提供することで、ウェブサイトを持たない事業者でも簡単にオンライン取引を始められるようにしました。
資金繰りに関しても、Razorpayは入金までのプロセスを迅速化し、さらにRazorpay Capitalを通じて中小企業向けの融資サービスを展開しています。これにより、売上はあっても現金が動かないという典型的な問題を緩和し、健全なキャッシュフローを確保する仕組みを整えました。請求や定期課金を自動化するサービスも財務管理の効率化を支え、企業が本来の事業に集中できる環境を整備しています。
また、決済の信頼性を高めるためにAIと機械学習を活用し、不正取引をリアルタイムで検知する体制を構築しました。これにより詐欺リスクを大幅に低減し、同時にピーク時でも安定して稼働できるインフラを整備しています。大規模セールや祝祭日のトラフィック増加にも耐えられる運用体制を持つことは、事業者にとって大きな安心材料となっています。
規制やコンプライアンスへの対応についても、Razorpayは積極的に自動化を取り入れています。越境取引では透明性の高い手数料体系や会計ソフトとの統合を進め、中小企業やSaaS事業者が国際的に展開しやすい環境を用意しました。定期支払いにおいても政府や銀行の規制に準拠した仕組みを導入し、グローバル企業がインドで安心してサブスクリプションモデルを採用できるようにしています。
近年では、持株会社の本拠を米国からインドへ戻す「リバースフリップ」を実行し、インドをグローバル戦略の中心に据え直しました。この動きは規制対応や投資家との関係強化だけでなく、インド市場に根ざしたエコシステムの構築を明確に示しています。決済にとどまらず、融資や銀行サービス、給与支払いといった幅広い機能を統合することで、Razorpayは「決済プラットフォーム」から「金融インフラ企業」へと進化を遂げつつあります。

・企業概要
企 業 拠 点 :ベンガルール、インド
設 立 年 月 日:2014年
資金調達総額:7.4億米ドル
fund Stage :シリーズF
主 要 投 資 家:Lone Pine Capital、Alkeon Capital、TCV(シリーズFの共同リード)、Tiger Global、Sequoia Capital India、Ribbit Capital、Matrix Partners、GIC(シンガポール政府系ファンド)、Y Combinator
従 業 員 数 :約2700名
参考: https://razorpay.com/
https://www.ycombinator.com/companies/razorpay
https://www.crunchbase.com/organization/razorpay
毎週水曜日、5社の注目スタートアップが登壇する
ピッチイベント!earthkey pitchのご案内
イベント概要
earthkeyが主催するオープンイノベーションイベントです。
業界業種にこだわらず、毎週5社の新進気鋭のシード・アーリーステージのスタートアップ企業が、事業会社との共創や投資家との出会いを目的に登壇します。業界を越えた業務提携や資本提携など毎回数々のマッチングが生まれる場です。事業会社の方は参加いただくことで、自社の新規事業の推進や自社課題(ワークフローのデジタル化など)の解決、クライアントへの付加価値提案などのアイデアを得ることができます。当イベントは、業界業種に縛られないセレンディピティ(偶然の出会い)の場を大切にしています。
相性の良い参加者像
・事業会社(新規、既存事業推進者・経営企画室)
・ベンチャーキャピタル
・コーポレートベンチャーキャピタル
・メディア関係会社
*過去参加企業(敬称略)
伊藤忠商事、三井物産、NEC、三井住友FG、みずほ銀行、凸版印刷、電通、JCB、フジテレビジョン、
三井住友海上、京セラ、楽天、日清紡HD、東芝、ALSOK 、GMOTECH、
京浜急行電鉄、東京建物、富士通、DNP、参天製薬、等
タイムスケジュール
15:45- zoomLIVE配信開始
15:50- イベント運営紹介、ピッチ概要説明
16:00- 1社目
16:11- 2社目
16:22- 3社目
16:33- 4社目
16:44- 5社目
16:55- クロージング
17:00- 終了
参加(視聴)費用
・無料
イベントについての注意事項
※登壇企業さま・弊社との事業が競合する企業さま、
事業会社に属されていない方からのお申し込みをお断りする場合がございます
※タイムスケジュールや登壇社は予告なく変更になる場合がございます
※参加者の企業名・部門名のみ、プレゼンテーションの質向上のため登壇企業さまへ共有することがございます
※本イベントはZoom(ウェビナー)を活用したフルオンラインのLIVE配信となります為、当日配信品質の問題が発生する可能性がございます。何卒ご了承くださいませ
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