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ナイジェリアのフードデリバリー業界は複数の深刻な課題に直面しています。ラゴスなどの都市部では交通渋滞や道路状態の悪化により配達遅延が頻発し、不安定な配達者のパフォーマンスがサービス品質に影響を与えています。SNS上では大幅な遅延に対する顧客からのクレームが目立ち、業界全体の信頼性に疑問が投げかけられています。

また、Glovo、Chowdeck、Eden Life、ChowCentralなど国内外の競合他社が積極的に事業拡大を進める中、特に既存のチェーン店や他のYCバックアップを受けたスタートアップとの競争が激化しており、差別化と運営効率の向上が業界全体の重要な課題となっています。

さらに、資金調達環境も厳しさを増しています。過去にはベンチャーキャピタルによる大型投資もありましたが、最近では新興企業への投資姿勢が慎重になっており、持続可能なビジネスモデルの確立が急務となっています。

FoodCourtは、ラゴスを拠点とするダークキッチン(ゴーストキッチン)型のバーチャルレストラン企業として、業界課題に対して革新的なアプローチで取り組んでいます。実店舗を持たずに中央調理キッチンから複数ブランドを展開することで、運営コストを大幅に削減し、効率性を向上させています。ナイジェリア料理のJollof & Coやラップ・ヘルシーミールなど多様なブランドを運営し、注文から配達まで一貫して自社で管理することで品質と利便性の両立を図っています。
同社の最大の特徴は、技術、調理、生産、配達すべてを統合したフルスタックモデルの採用です。このアプローチにより、オペレーション効率と収益性を向上させ、リソースを複数ブランド間で共有してコスト削減を実現しています。また、同社のアプリでは、ユーザーが異なるブランドの料理を一度の注文で組み合わせることが可能で、例えばアマラ(伝統料理)、ハンバーガー、デザートをまとめて注文できる利便性の高さが支持されています。
配達遅延の問題に対しては、配達時間の短縮やバイク配達者の増強に継続的に取り組んでおり、完全な改善には至っていないものの着実な進歩を見せています。また、2024年5月には調理プロセスの見直しを実施し、約100名のレイオフを行いながらも、準備工程の前倒しやベース素材の大量仕込み高速化により調理時間の削減と効率化を図りました。
持続可能性の観点でも、食品ロスを農場に売却し使用済み油をバイオ燃料会社に提供するなど、環境負荷低減に配慮したサステナビリティの取り組みを行っています。
資金調達面では、2022年にY Combinator(YC)に採択され、5万ドルの初期投資や後に総額170万ドルの資金調達を実現しました。2024年には既に黒字化を達成し、月間アクティブユーザーは約1万人、平均注文額はナイラ15,000(約35USD)と報告されています。こうした成果により、同社は外部からの資金調達に依存せず、内部収益と効率性の向上に注力した持続可能なビジネスモデルへの転換を成功させています。

・企業概要

企 業 拠 点 :ナイジェリア、ラゴス
設 立 年 月 日:設立2021年
資金調達総額:220万ドル
fund Stage :シード
主 要 投 資 家:Yコンビネーター、グッドウォーター・キャピタル、マイクロトラクション、アンポピュラー・ベンチャーズ
従 業 員 数 :1-10名

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