近年、東南アジアにおける消費者金融市場の拡大とともに、過剰債務や返済困難といった課題が深刻化しています。こうした背景のもと、シンガポールを拠点に活動するスタートアップ企業「Amalan(アマラン)」は、債務者と貸し手の双方にとって持続可能な解決策を提供することで注目を集めています。
目次
1.企業概要と創業の背景
Amalanは2014年に設立されたスタートアップで、主にインドネシア、フィリピン、インドなどの東南アジア市場を対象に、個人の債務再編を支援するオンラインプラットフォームを展開しています。創業者は金融サービス業界での豊富な経験を持ち、東南アジアにおけるクレジットカード債務やパーソナルローンの急増に対応する必要性を感じ、Amalanを立ち上げました。
2.ビジネスモデルの特徴
Amalanの主なビジネスモデルは「債務管理プログラム(Debt Management Program:DMP)」の提供です。このプログラムは、債務者に代わって貸し手と交渉し、毎月の返済額を軽減するためのローン再編案を作成・実行する仕組みです。債務者はオンラインで申し込みを行い、Amalanのカスタマーサポートチームと相談しながら、適切な返済計画を立てることができます。
Amalanは、債務者から定額の手数料を徴収することで収益を得ており、貸し手側からも再編成功時の手数料を受け取る場合があります。この両面収益モデルにより、経済的に持続可能な事業運営が可能となっています。
3.成長段階と市場展開
AmalanはシードステージからシリーズAにかけて複数の投資家から資金調達を行っており、特に社会的インパクトを重視するVCや金融包摂を支援する機関からの支援を受けています。現在は東南アジア3カ国(インドネシア、フィリピン、インド)で事業を展開しており、ローカル市場ごとの法制度や消費者行動に応じた最適な支援モデルを設計しています。
4.優位性と競争力
Amalanの競争優位性は、以下の3点に集約されます。
1.テクノロジー活用による効率的な債務分析と交渉プロセス
AIを活用した初期診断や自動化されたコミュニケーションツールにより、
迅速かつスケーラブルなサービス提供が可能です。
2.ローカライズされたサポート体制
現地言語で対応可能なスタッフによるカスタマーサポートや、
地域ごとの金融慣行を踏まえた交渉ノウハウが蓄積されています。
3.社会的インパクトへのコミットメント
Amalanは単なる金融仲介ではなく、債務者の再起を支援する社会的ミッションを掲げており、
ESG投資の文脈でも高く評価されています。
5.今後の展望
東南アジア地域では依然として多くの人々が正式な金融サービスへのアクセスに課題を抱えており、Amalanのような「デット・リリーフテック」企業の需要は今後さらに拡大すると見られます。Amalan自身も、今後はより多くの地域への展開を視野に入れ、パートナー金融機関との連携強化や信用スコアリング技術の向上を進めています。
参考:https://amalan.com/id
https://www.crunchbase.com/organization/amalan
https://www.linkedin.com/company/amalan-international
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