Astro Mechanicaは、2021年にサンフランシスコで創業された航空宇宙スタートアップです。同社は「超音速飛行の民主化」をビジョンに掲げ、ターボエレクトリック・アダプティブ・エンジンという革新的な推進システムを開発しています。このエンジンにより、従来の旅客機では不可能だったマッハ3(音速の3倍)以上の飛行を効率的かつ経済的に実現することを目指しています。
目次
1.主力技術:ターボエレクトリック・アダプティブ・エンジンとは?
Astro Mechanicaのコア技術は、以下のような特徴を持つ新型ジェットエンジンです:
- 3つの運転モードの切り替え:
地上/亜音速の電動推進、マッハ1以上のターボジェット、マッハ3以上のラムジェットをシームレスに切り替え可能。 - ターボエレクトリック方式:
ターボジェネレーターで発電し、ファンやコンプレッサーを独立して駆動。高度・速度に最適な推進効率を実現。 - 液化天然ガス(LNG)対応:
通常のジェット燃料よりCO₂排出を最大30%削減し、燃料コストも安価に。 - 応用範囲:
民間旅客機から国防用途(偵察機や電子戦機)まで幅広く展開が可能。
このエンジンをコンコルド(超音速旅客機)に適用した場合、燃費性能は61%改善されるという試算も出されています。

2.資金調達と成長戦略
Astro Mechanicaは、2025年4月に以下の投資家から**シリーズAで2,710万ドル(約42億円)**を調達しました。
- a16z(Andreessen Horowitz)
- Lowercarbon Capital
- Giant Step Capital など
資金は、エンジンの製造・試験、航空機本体開発チームの立ち上げ、太平洋横断デモ飛行に向けたプロジェクトに充てられる予定です。
3.将来展望と商業化プラン
- 2026~2027年:太平洋横断の無人デモ飛行を予定
- 2030年代初頭:有人超音速旅客機の商業運航開始を目指す(チケット価格は現在の国際線水準に抑える計画)
また、軍事用としては高出力電力を必要とするレーダーや電子戦システム、無人機に対する応用も視野に入れています。
4.総括
Astro Mechanicaは、2021年にサンフランシスコで設立された航空宇宙スタートアップです。独自開発の「ターボエレクトリック・アダプティブ・エンジン」により、マッハ3以上の超音速飛行を効率的かつ持続可能に実現することを目指しています。このエンジンは、飛行条件に応じて複数の推進モードを切り替えられる仕組みで、液化天然ガス(LNG)による環境負荷の低減も特徴です。
同社は2025年4月に、Andreessen Horowitz(a16z)などから約2,710万ドルの資金を調達しており、無人機による太平洋横断デモ飛行や、将来的な商業機の開発に取り組んでいます。民間・軍事の両面での応用が期待されており、2030年代初頭の実用化を目指しています。
参考:https://www.astromecha.co/
https://www.ycombinator.com/companies/astro-mechanica
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