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働き方の多様化が進む現代において、安全で効率的なリモートネットワーク環境の構築は、多くの企業にとって避けては通れない課題となっています。しかし、従来のVPNソリューションは設定の複雑さやセキュリティ管理の煩雑さから、IT担当者と利用者双方にとって大きな負担となってきました。
そんな中、カナダ・トロント発のスタートアップ「Tailscale(テイルスケール)」が提供する革新的なVPNサービスが注目を集めています。元Googleエンジニアたちが2019年に創業した同社は、従来のネットワーク管理の概念を覆す「ゼロコンフィグ型VPN」で業界に変革をもたらしつつあります。

従来型VPNが抱える課題

多くの企業で利用されている従来型のVPNは、導入から運用まで専門的な知識と手間を要求します。サーバーの設置や設定、各デバイスへの個別設定、定期的なメンテナンスなど、IT担当者にとって大きな負担となっているのが現実です。特に中小企業では、専門知識を持つ人材が限られているため、この負担がボトルネックとなってしまいがちです。

VPNの運用においては、アクセス権の管理や内部リソースの保護が重要な課題となります。従業員の入退社に伴うアクセス権の変更、各部署や役職に応じた細かな権限設定、セキュリティポリシーの統一管理など、運用が複雑化するほどセキュリティリスクも高まってしまいます。

従来型VPNでは、接続時の複雑な手順や頻繁な切断、通信速度の低下などが利用者にとって大きなストレスとなっています。これらの問題は業務効率の低下を招き、せっかくのリモートワーク環境も十分に活用できない状況を生み出していました。

在宅勤務や分散勤務の普及により、個人デバイスと会社支給デバイスの混在、複数拠点からのアクセス、クラウドとオンプレミスの混在環境など、ネットワーク管理はより複雑になっています。従来のVPNでは、こうした多様な環境への柔軟な対応が困難でした。

専用サーバーの設置やライセンス費用、継続的なメンテナンスコストなど、従来型VPNの導入・運用には多額の費用がかかります。特に中小企業にとって、これらのコストは大きな負担となり、十分なセキュリティ対策を諦めざるを得ない場合も少なくありませんでした。

Tailscaleが描く新しいネットワークの世界

Tailscaleは2019年、元Googleエンジニアたちによってカナダ・トロントで設立されました。創業からわずか数年で急成長を遂げ、現在ではユニコーン企業(企業価値10億ドル超の未上場企業)として注目を集めています。同社のミッションは、複雑なネットワーク設定から解放された、誰もが簡単に使える安全なネットワーク環境の実現です。

Tailscaleの技術的な基盤となっているのは、最新のVPNプロトコル「WireGuard」です。この技術により、従来のVPNと比較して高速で安定した通信を実現しながら、エンドツーエンドの暗号化による強固なセキュリティを確保しています。利用者は通信品質の向上を実感できると同時に、企業は高水準のセキュリティを維持できます。

Tailscaleの最大の特徴は、その名の通り「設定不要(ゼロコンフィグ)」でVPNを利用できることです。従来のような専用サーバーの設置や複雑なネットワーク設定は一切必要ありません。利用者はスマートフォンやパソコンにTailscaleアプリをインストールし、アカウントにログインするだけで、即座に安全なネットワーク接続が開始されます。
この簡単さは、IT部門の負担を劇的に軽減するだけでなく、従業員の生産性向上にも直結しています。複雑な接続手順に悩まされることなく、必要な時にすぐに安全な接続を確立できるため、リモートワークやモバイルワークがより快適になります。

Windows、macOS、Linux、Android、iOSなど、主要なオペレーティングシステムすべてに対応しているTailscaleは、デバイスの種類を問わず統一された環境を提供します。また、クラウドサービスとオンプレミスシステムの混在環境でも、シームレスな接続を実現できるため、企業のDX推進においても強力な支援ツールとなっています。

現代のセキュリティ要件に対応するため、Tailscaleはゼロトラストネットワークのアプローチを採用しています。各デバイスは個別のIDで管理され、Google、Microsoft、GitHubなどの既存のシングルサインオンシステムと連携した認証が可能です。これにより、従業員の入退社や部署異動に伴うアクセス権の変更も、管理画面から簡単に行えます。

従来の中央集権型VPNとは異なり、TailscaleはP2P(ピアツーピア)メッシュ型のネットワーク構成を採用しています。これにより、デバイス間の直接通信が可能となり、遅延の少ない高速な通信を実現しています。また、トラフィックが一箇所に集中しないため、システム全体の負荷分散効果も期待できます。

Tailscaleは、無料プランから始まり、利用デバイス数に応じた柔軟な課金体系を採用しています。中小企業から大企業まで、それぞれの規模や予算に応じて最適なプランを選択できるため、初期投資を抑えながら段階的にシステムを拡張していくことが可能です。

現代の働き方への影響と未来への展望

Tailscaleのようなシンプルで効果的なVPNソリューションの登場により、これまでテクニカルな障壁からリモートワークに踏み切れなかった企業でも、安心して分散勤務体制を導入できるようになりました。特に、IT部門が限られた中小企業にとって、その効果は絶大です。

従来、高度なセキュリティ対策は大企業の特権とも言える状況でしたが、Tailscaleのようなクラウド型ソリューションにより、企業規模を問わず同等水準のセキュリティを享受できるようになりました。これは、サイバーセキュリティにおける企業間格差の解消に大きく貢献しています。

複雑なネットワーク管理から解放されることで、IT部門はより戦略的な業務に集中できるようになります。これにより、企業全体のデジタル変革(DX)が加速し、競争力の向上につながることが期待されています。

AIやクラウドネイティブなアプリケーションの普及に伴い、従来のネットワークセキュリティでは対応が困難な新たな脅威も出現しています。Tailscaleのようなモダンなアプローチは、こうした未来の技術トレンドにも柔軟に対応できる基盤を提供しています。

・企業概要

企 業 拠 点 :トロント、カナダ
設 立 年 月 日:2019年
資金調達総額:2億7640万ドル
fund Stage :シリーズC
主 要 投 資 家:アクセル、インサイト・パートナーズ、アンコーク・キャピタル、イノビア・キャピタル、CRV
従 業 員 数 :101-250名

silhouette of a person drinking behind bottles of alcohol with added filter

毎週水曜日、5社の注目スタートアップが登壇する
ピッチイベント!earthkey pitchのご案内

イベント概要

earthkeyが主催するオープンイノベーションイベントです。
業界業種にこだわらず、毎週5社の新進気鋭のシード・アーリーステージのスタートアップ企業が、事業会社との共創や投資家との出会いを目的に登壇します。業界を越えた業務提携や資本提携など毎回数々のマッチングが生まれる場です。事業会社の方は参加いただくことで、自社の新規事業の推進や自社課題(ワークフローのデジタル化など)の解決、クライアントへの付加価値提案などのアイデアを得ることができます。当イベントは、業界業種に縛られないセレンディピティ(偶然の出会い)の場を大切にしています。

相性の良い参加者像

・事業会社(新規、既存事業推進者・経営企画室)
・ベンチャーキャピタル
・コーポレートベンチャーキャピタル
・メディア関係会社

*過去参加企業(敬称略)
伊藤忠商事、三井物産、NEC、三井住友FG、みずほ銀行、凸版印刷、電通、JCB、フジテレビジョン、
​三井住友海上、京セラ、楽天、日清紡HD、東芝、ALSOK 、GMOTECH、
京浜急行電鉄、東京建物、富士通、DNP、参天製薬、等

タイムスケジュール

15:45- zoomLIVE配信開始
15:50- イベント運営紹介、ピッチ概要説明
16:00- 1社目
16:11- 2社目
16:22- 3社目
16:33- 4社目
16:44- 5社目
16:55- クロージング
17:00- 終了

参加(視聴)費用

・無料

イベントについての注意事項

※登壇企業さま・弊社との事業が競合する企業さま、
事業会社に属されていない方からのお申し込みをお断りする場合がございます
※タイムスケジュールや登壇社は予告なく変更になる場合がございます
※参加者の企業名・部門名のみ、プレゼンテーションの質向上のため登壇企業さまへ共有することがございます
※本イベントはZoom(ウェビナー)を活用したフルオンラインのLIVE配信となります為、当日配信品質の問題が発生する可能性がございます。何卒ご了承くださいませ

視聴をご希望の方は下記リンクよりお申し込みください。

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