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世界中で高齢化が進行する中、医療分野では高齢者特有の疾患に対する新たな治療法が求められています。特に、高齢者の肥満や代謝性疾患(糖尿病、筋力低下、免疫機能低下など)は、既存の治療法では効果が限定的で、副作用や投与方法への課題も残されています。また、老化の生物学的メカニズムが複雑で未解明な部分が多く、製薬開発が難航する領域とされてきました。医療機関や患者が求めるのは、「老化そのものに向き合い、根本から改善できるアプローチ」です。

・企業概要

企 業 拠 点 :米国
設 立 年 月 日:2015年
資金調達総額:2億9390万ドル
fund Stage :シリーズD(レイター)
主 要 投 資 家:Khosla Ventures, Andreessen Horowitz, RA Capital Management, OrbiMed, Sands Capital Ventures
従 業 員 数 :51-100名

・サービス概要

アメリカ発のスタートアップBioAge Labsは、「老化を分子レベルで理解し、その過程を制御する」という斬新なアプローチで、高齢者の代謝性疾患に立ち向かっています。2015年設立、拠点はカリフォルニア州リッチモンド。これまでに総額2億9,390万ドルの資金を調達し、Khosla Ventures、Andreessen Horowitzなど著名ベンチャーキャピタルからの支援を受けています。

1. 人体データに基づく創薬プラットフォーム

BioAgeの最大の特徴は、「human-first discovery platform」と呼ばれる独自の創薬基盤です。これは、数十年分の多層的なオミクス(ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームなど)データを機械学習で解析し、老化や疾患に関連するバイオマーカーや代謝経路を特定するものです。この人中心のアプローチにより、個別化医療や適応の広い治療薬開発が可能になります。

2. 注目の経口減量薬「azelaprag」

現在最も注目されている開発品が、経口APJアゴニスト「azelaprag(アゼラプラグ)」です。これは、GLP-1受容体作動薬などのインクレチン薬と併用することで、注射剤に匹敵する体重減少効果を得られる可能性を持っています。現在、チルゼパチド(Mounjaro)との併用による第2相臨床試験が進行中で、肥満治療の新しい選択肢として世界中の医療業界が注目しています。

3. 老化関連疾患への多面的アプローチ

BioAgeは、肥満にとどまらず、サルコペニア(筋力低下)や免疫機能低下など、老化に伴う複数の疾患に対しても薬剤開発を進めています。このような複合的な健康課題に対応する姿勢は、高齢化社会における包括的な健康維持戦略として評価されています。

4. 臨床試験と実用化へのスピード

臨床開発体制にも強みがあり、第1相から第2相までの試験を効率的に推進できるインフラを整備。スピーディな検証と実用化を可能にすることで、新薬開発のリスクとコストの最適化にもつなげています。

5. 盤石な資金調達基盤

2021年にはシリーズCラウンドで8,500万ドルを調達。これにより、研究開発や臨床試験のさらなる拡大が可能になり、新たな治療薬のパイプライン構築を進めています。

まとめ

BioAge Labsは、老化を単なる「避けられない自然現象」とせず、医学的に制御可能なプロセスとして再定義しようとしています。そのアプローチは科学的根拠に基づきながらも、実用的な治療薬の開発に結びついており、今後の高齢者医療の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

参考:https://bioagelabs.com/
   https://relic.co.jp/ideation-cloud/57319/

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